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ウェブログ図書館 library.jienology.com の館長と電子司書によるブログ形式の日誌です。

2005/08/18 14:50:50

投げ銭のあり方を考察する題材(少年時代)
 「少年時代」と聞くと、何を思い浮かべるだろうか。
 多くの人は、「夏が過ぎ風あざみ〜」で始まる井上陽水の名曲を思い浮かべる
のではないか。
 今から15年も前に世に出た曲であるけれども、この時節になるともう必ず
思い出したように何度でも流れる曲だ。

 「少年時代」という曲は、もともと「少年時代」という映画の主題歌である。
 そして漫画好きにはよく知られているように、その映画には長編漫画による
原作が存在する。作者は、「忍者ハットリくん」とか「笑ウせぇるすまん」とかで
おなじみの藤子不二雄(A)である。
 さらに、あまり知られていないかもしれないが、藤子氏の漫画は「長い道」
という長編小説の翻案である。「長い道」の作者は、芥川賞作家の柏原兵三である。

 小説『長い道』(1969):柏原兵三
 漫画『少年時代』(1978-1979):藤子不二雄(A)
 映画『少年時代』(1990):篠田正浩
 楽曲『少年時代』(1990):井上陽水

 小説が漫画に翻案されたのは、公開から10年も経った後のことであり、
しかも柏原氏が若死にしているため、藤子氏は柏原氏の遺族から翻案許諾を
得たという。
 さらに漫画が映画化されたのはそれから10年後であり、子供の頃からの
映画好きであった藤子氏(いまでいう映画オタクの篠田信者)が映画の
作り手側に立つ僥倖に恵まれた作品である。(ちなみに「忍者ハットリくん」
も香取慎吾主演で昨年映画化された)
 そして映画の公開から15年を経た今、「少年時代」といえばいまなお知名度は
抜群であるが、もっぱら言及されるのは井上陽水の歌うあれだ。どうやら一番
得をしたのは井上氏とも見える。

 柏原氏は故人であり、中公文庫(中央公論新社)の『長い道』は絶版である。
また、漫画『少年時代』は「藤子不二雄(A)ランド」で復刊されるもそれほど
手にはいりやすいとは言いがたい。映画は人気アイドルが主演・共演したわけでは
ないので知名度はいまひとつかもしれない。

 この「少年時代」の例は、〜大ブロ式〜の下記エントリーを読んで書き起こした
ものだ。いわゆるブログの投げ銭機能を考える題材にしてもらえれば幸いである。

 「はてなの投げ銭システムについて色々考えてたら面白いアイディアを思いついた」
 http://d.hatena.ne.jp/santaro_y/20050817/p1

 ちなみに、「少年時代」の連鎖では、

・小説,漫画,映画,楽曲,とメディアがまったく異なっている。
・小説と漫画の間には大幅な翻案があり題名も別。
・映画と楽曲の間には全体(映画)と部分(映画の主題歌)の関係がある。
・芥川賞作家,少年漫画の大御所,一流映画監督,人気音楽家,のように
 いずれも劣らぬクリエイターが連なる。

という特徴がある。

 ところで翻案の連鎖というと、2ちゃんねる文学の金字塔(笑「電車男」に
言及しないわけにはいかないだろう。そこでは、

 2ちゃんねる→まとめサイト→書籍(→パロディ)→漫画→映画→TVドラマ

といった連鎖を指摘できるが、「電車男」の場合、

・ほんの1年ほどの間に一気にTVドラマ化まで進んでしまった。
・キタ━(゚∀゚)━!! のような2ちゃんねるそのまんまのアスキーアート表現が
 何段階もの翻案を経たあとでも登場する。(笑

という特徴がある。関係者で果実を山分けするにはいいのだろうが、短期間で
翻案もどきを繰り返す結果として不毛の大地が広がらないか。

(関連)
「ドラマ「電車男」」(アスキーアート・エッセイ)
http://library.jienology.com/data.php?no=5468
「であったころのきみでいて」(Cor.8.0.5)
http://yaoco.seesaa.net/article/5256534.html
「ブログ作者に投げ銭を」(近藤淳也)
http://d.hatena.ne.jp/jkondo/20050810/1123662359

(補足)
 中央公論社の愛蔵版『少年時代』(1989)の巻頭言から。
 今では入手困難と思われるので、長くなるが関連箇所を引用する。価値の遡及と
いった現象が、同一人の作品の中でも起こっていることが窺える。
 ちなみに「人気投票」のくだりは、別にどこかのソーシャル・ブックマークに
対する当てこすりとかではありませんよ。(・∀・)ニヤニヤ

…前略…
 スピーディで、パワフルな作品群が氾濫する少年漫画の世界で、「少年時代」は一見すごく地味で、単調な展開といえる。ぼく自身、はたして一年もの週刊誌連載をもつかな、と心配した位だったが、描きはじめてみると夢中になった。タケシという少年の多面性、彼の言動に左右される進一のゆれ動く心情、そして二人を囲む少年たちそれぞれの思い、ぼくは登場する少年群のすべてに同化し、それを描くことを楽しんだ。
 しかし、読者の反響はまったくといっていいほどなかった。少年漫画の世界は、読者の人気で、作品価値が決定される。少年漫画誌では、毎回、連載漫画の人気投票が行なわれ、作品の人気順位がだされる。しかし連載中、担当編集者は、「少年時代」の人気順位を一度もぼくにしらさなかった。おそらく、「少年時代」はいつも人気順位の下位を低迷していたのに違いない。ふつうなら、きっと途中で連載は打ち切りになっていたハズだ。だが、この物語が昭和十九年夏から、昭和二十年の終戦の夏までの一年のドラマだということをしっていた編集部は、ジッと耐えていてくれたのだ。競争激烈なこの世界では稀有なことだ。完結まで一年間、連載を続けてくれた『週刊少年マガジン』編集部には深く感謝している。しかし、作者であるぼくは、予想はしていたもののあまりの反響の無さにがっかりした。やはり、自分だけの一人相撲だったのか。「長い道」の感動を「少年時代」は、読者につたえることはできなかったのか、と思ってぼくの力不足をなげいた。
 そして一年、連載は完結した。終戦になり、東京へ帰る進一とタケシの別れで、「少年時代」は終った。ところが、最終回ののった号が発売された週の終り、突然たくさんの手紙が、それこそ嵐のように舞いこんできた。小学生から、若い女性、そして七十歳の老人まで。「はじめはヘンな漫画だなあと思ったけど、なぜか読まずにはいられなくて、とうとう一年間夢中になってしまいました。最終回でタケシと進一が別れる場面で、タケシが可哀想で泣いてしまいました。漫画を読んで泣いたのは、はじめてです。」その中の一通で、小学五年生の男の子からのものだ。ほとんどの手紙が、これと同じような内容だった。ぼくは、これらの手紙を読んで、自分の思いいれが読者につたわったことをしり、とても嬉しかった。そして、「少年時代」を描いてよかった、と思った。
…後略…

(参考)
ウィキペディア - 少年時代
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%91%E5%B9%B4%E6%99%82%E4%BB%A3
||||||| posted by 館長

comment

1.Janet(2006/05/09 09:09:17)
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2.名無しさん(2007/08/21 09:26:12) / xtngdxgb
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3.bpygrbhp(2007/08/21 09:26:15)
Ts8RWc comment6 ,
4.Aqxggeen(2009/06/25 17:15:32)
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